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収穫の秋 [お出かけ]

 ここのところ立て続けに更新するかと思えばしばらくほったらかしになっているという当ブログですが、ぼちぼち更新できそうです。やれやれ。

 週末は3連休でしたので、元気回復のため例によって例のところへ行ってきました。

 沼田市のあたりは、太平洋側の気候と日本海側の気候との移行帯にあたり、山の上は冬はしっかり雪が積もりますが、里のあたりはそれほど積雪はなく、風の強さと雲の出方によって晴れたり雪が飛んできたり・・・という感じになります。直線距離では数㎞しか離れていない場所で、気候が随分と異なる地域です。
 先週末は冬を先取りしたような冬型の気圧配置になり、北アルプスでは遭難事故もありましたが、沼田でも同じような状況で、強い西風が吹く中、山の上は雨、里は晴れたり天気雨になったり、という天気になりました。

 そんな天気の中でしたが、いつもより時間は短め、とはいえしっかり山を歩いてきました。

 強風と雨の中をわざわざ歩いたのは、当然ながら「何か」を期待してのことです。
 歩いただけのことはありました。

 9月にはキノコが出ていないと嘆く結果になったのですが、10月に入って急に大発生を始めたようです。例年なら8月末~9月中旬くらいに発生する種も今になってようやく出てきており、しかもその量が半端ではありません。このため今回の山行きは、例年なら9月に楽しめるキノコと10月のキノコを同時に、しかもたくさん採集できる、という楽しい旅行になりました。

 もっとも、山の木の実は大変な不作で、ざっと見たところ年による豊凶の少ないトチノキが例年通り実を付けているのと、ミズナラのドングリが少々落ちている程度。
 昨年の大豊作で今年春にたくさんの子グマが生まれていることもあり、今年の秋は多数のクマが里の畠に下りてきているそうです。最近はこのあたりでも罠で捕獲して奥山放獣というやり方もしているようなんですが、山に餌がないのでは、どんなに奥山に連れて行ってもまた里に下りてきてしまうでしょうし、ある程度は駆除もやむを得ないか、と思います。

 まあそれはともかく、里では旬のリンゴもたくさん入手してきました。

 さて、まずは一番たくさん採れたキノコから。

 ナラタケです。あちらこちらの朽ち木、倒木にたくさん発生しており、比較的若くてきれいなのばかり集めたのですがかなりの量が採れました。
 ダシのよく出るキノコで、ちょっとヌメリがあって鍋物や味噌汁、うどん・そばの具などに向きます。さっとゆでてダイコンおろしと和えるのも悪くないですね。収穫量は後ほど・・・

 ここのブナ林の林床は高さ1~1.2mくらいのクマイザサが多いので、うちの子でも目線はおおむねササより高いところにあります。樹冠が詰まっているところならササの密度も低いですし、比較的ヤブこぎもしやすいので、子供と二人で思いっきりヤブこぎしてキノコを探しました。
 問題はクマにいきなり出くわすおそれがあること。通常ならクマの方が人の気配を感じれば逃げてしまうのですが、風が強いのでヤブこぎをしていても気配がわかりません。やむなく、大きな声で話をしながらヤブこぎしてました。


 ブナの根本に出ているトンビマイタケを見つけました。合計7・8個見つけましたが、どれも発生してからだいぶ時間が経っているようで、残念ながらかなり痛んでしまっていました。この種は例年8月末頃に出るそうで、今年はだいたい一月遅れたのではないかと思います。来年は8月末頃に同じところを歩いて探してみようと思います。


 これ、キノコです。とてもキノコには見えない、という方も多いと思います。傘のできないキノコで、サンゴハリタケといいます。まさしくサンゴのようで形も色もとてもきれい。
 図鑑で見て知ってはいたものの実物を見つけたのは初めてで、これが朽ち木にわさっと発生していたのを見つけた時は、その美しさとうれしさで一瞬呆然としてしまいました。

 実は大変美味しいキノコです。香りが強いのでちょっと気になる人もいるかもしれないですが、大変味の良いダシが出ます。昨夜すまし汁にしたのですが、私の料理とは思えないような味になり、大感激でした。
 問題は、見つけた場所がヤブこぎでたまたま行き着いた場所、でしたので、来年同じところにたどり着けるかわからん、ということであります。
 

 また変わったのが出てきました。これも傘なしのキノコで、ヤマブシタケといいます。
 なんか健康食品としてかなりの高値で(乾燥した粉末などが)販売されているようですね。ガンに効くとか、ボケ防止とか、高血圧対策とか、色々と効能が並んでいるウェブサイトがあるようですが、まあ信じる人には効くのかもしれません。お値段相当の効き目があるかどうかは知りませんが。

 健康食品としての効き目はともかくとして、これまた実物を発見したのは初めてです。上のサンゴハリタケと同じ仲間のキノコですが、枝状に伸びずに塊から扁平な細いひだがたくさん下がります。これは炊き込みご飯にしてみました。香りはサンゴハリタケほど目立ちませんが、ダシは結構出たように思います。美味しかったです。


 白いキノコが続きます。3つ目のこれはブナハリタケ。先月狙っていたキノコなんですが、10月になってようやく出てきたようです。まだ出始めのものが多く、痛んだものは少なかったです。
 ブナの枯木に写真のように重なって発生します。立ち枯れた木に発生しているのは、遠くからでもよく目立ちます。今年は発生時期が遅いためか例年よりやや小振りですが、数が多いので気になりません。
 身が締まっていて歯ごたえがよく、味もとても良いキノコです。ダシもよく出ますが、歯ごたえを味わうにはバターなどでの油炒めがよいかもしれません。
 まあ大量に採れるので色々な食べ方を試すことができます。

 ブナハリタケの大きな株の下のちょこっと出ている茶色いキノコがありますが、これはどうやらニガクリタケのようです。いかにも美味しそうに見えますが有名な猛毒キノコで、毎年のように中毒事故が起きます。普通はもう少し黄色ぽいものが多いと思います。
 試したことはないのですがかなり苦いそうで、山採りのキノコを口にした時に苦みを感じたら飲み込まずに吐き出せば、中毒は避けられるそうです。
 まあそれ以前に、自信を持って識別できるキノコ以外は食べない、というのが鉄則ではあります。

 今回はこれらの他に、ブナシメジとクリタケ(下に写真あり)と、ハタケシメジが採れました。ブナシメジとクリタケはそれぞれ1食分くらいの量だったので、月曜日にそれぞれおろし和えと炊き込みご飯で食べてしまいました。クリタケは香りはあまり無いのですが、炊き込みご飯にするとダシの味が大変良くてとても美味しくいただけます。ブナシメジは栽培モノでも十分美味しく、野生モノでなければ、というわけではないですが、やはり気分は良いです。
 ハタケシメジは出たてのきれいなのがそれなりの量採れたので、下に書いたナラタケと同様に冷凍保存してあります。なんに使うかは思案中。

 さて、自宅での作業です。といってもゴミや汚れを分けた段階の写真しかありませんが。
 ナラタケはさっと煮て煮汁ごとジップロックに入れてしまい、冷凍保存です。下のざるに入っている量くらいで料理1回分と言うところでしょうか。


 今回は、ざるに入っている量に加えて下の写真くらいの量が採れました(ただし、水に浮いています。下までぎっしり、ではないです。)。あわせてジップロック5袋分になりました。

 左がブナシメジ、右はクリタケ。クリタケの量はちょうど炊き込みご飯1回分(3合)の適量でした。これまた美味でした。はっはっは。

 処理しなければならないモノはまだまだあります。里でリンゴ狩りをして、紅玉、陸奥、陽光、ジョナゴールド等々を購入したのですが、リンゴ園では土日の強風で落ちてしまったリンゴが結構な量になってしまっており、ジャム用にどうぞ、ということで大量にいただいてきました。

 下の写真は、とりあえず急いで処理した方が良さそうなモノだけ選んで作成した、今回第1弾、本年第2回目のリンゴジャムです。裏ごしなんて面倒なことはしません、男の料理だし。切ったまんまのプリザーブスタイルです。
 9月の時もやはり落果モノをいただいて1回ジャムを作ったのですが、その時製作した量がちょうど今回と同じく、大瓶2つ+αくらいでした。
 しかし今回はジャム用リンゴがあと4回分くらいあります。

 ということで、例年のことではありますが、しばらくの間わたくしジャムおじさんとなります。アンパンマンは作れませんが。


 瓶詰め後にしっかりと湯煎して蓋を閉めているので、市販のジャム並みに保存が利きます。実際今朝食べたリンゴジャムは昨年製造のでした。

 あと4回作るのか・・・作り終わるとすぐに11月になり、最後に熟れるリンゴ「富士」の季節になります。その頃また沼田に行く予定なので、ふたたびジャム用を大量にもらってくることになりそうな・・・

日本のきのこ

日本のきのこ

  • 作者: 今関 六也, 本郷 次雄, 大谷 吉雄
  • 出版社/メーカー: 山と溪谷社
  • 発売日: 1988/10
  • メディア: 大型本


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はてみ

キノコ狩りはなまじっかな素人(つまり私のような)がやるのは危険なんだと思いますが、Forestscapeさんはずいぶん慣れていてくわしいのですね。サンゴハリタケは美しいです。美と味を兼ね備えているとは、天が二物を与えたか。ヤブこぎはクマに遭う恐れさえなければ楽しそうです。リンゴジャムもおいしそうだあ。冬ごもりの支度でもしているようですね、ジャムおじさん(^^)
by はてみ (2006-10-12 01:21) 

Forestscape

> はてみ さま
ジャムおじさんです。美味しそうと言っていただけるとうれしいです。
冬ごもりの支度・・・ですか?そんなに肥えてしまってはまずいんですが・・・
ヤブこぎはササの背丈の低いところなら楽しいですよ。季節によっては貴重なラン科の花が見つかったりするし。でもササが密に生えているところはきついし、楽しみも少ない・・・そういう点でもここの林はほんとに良いところなんです。
キノコは・・・自分で採って覚えるのが一番でしょう。詳しい人に調べてもらえば安心です。私も素人に毛が生えたくらいのものですが、要は美味しいキノコと、絶対に食べてはいけないキノコだけ覚えてしまえばOKですからね。
by Forestscape (2006-10-13 12:33) 

春分

ナラタケって、東北・北海道で言うところのボリボリですね。
若い頃に(およそ1年前)書いた記事がありましたのでトラックバック致します。
by 春分 (2006-10-14 14:52) 

Forestscape

> 春分 さま
TBありがとうございます。はい、ボリボリであります。
枯木のみならず、生きている木にも入り込んで木材を腐らせる菌として有名で、やや乾燥した森の土を掘ると真っ黒な植物の根のようになってはびこってます。
森に生えるラン科やイチヤクソウ科などの植物はこの菌糸に寄生して栄養をとる種も多いようで、大きく見れば持ちつ持たれつなんだと思います。
by Forestscape (2006-10-18 14:57) 

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